プロフィール

 原発問題住民運動全国連絡センター(原住連センター)は、原子力発電所の危険から住民の命と暮らしを守ること、福島原発事故の被害者を救済し復興をはかること、原発の再稼働をやめさせ原発ゼロの社会を築くことを目指しています。


 原住連センターの2018年度役員は、次の通りです(2017年11月19日選出)。

役 職 名 氏  名
 筆頭代表委員  伊東 達也(福島県)
 代表委員(幹事)  早川 篤雄(福島県)
 代表委員(幹事)  立石 雅昭(新潟県)
 代表委員(幹事)  持田 繁義(新潟県)
 代表委員(幹事)  栁町 秀一( 埼玉県)

 

 代表委員 米谷道保(北海道) 谷崎嘉治(青森) 髙野 博(宮城)
  同上 小林栄次(茨城) 野村存生(東京) 持田繁義(新潟)
  同上 児玉一八(石川) 林 広員(福井) 唐沢裕史(静岡)
  同上 岡村哲志(静岡) 出馬益子(三重) 橋本武人(和歌山)
  同上 芹沢芳郎(大阪) 和田 宰(愛媛) 井上勝博(鹿児島)
  同上 山本幸一(全教) 福島 功(自治労連) 木下 興(民医連)
 オブザーバ 大川正治(群馬)    
 監査委員 安部愃三(東京)    
 名誉代表委員 藤巻泰男(新潟) 中村敏夫(茨城)  

 

原発問題住民運動全国連絡センター(原住連)の歩み

――原発問題をめぐる情勢の基本的認識と運動について――

<原住連の設立>
 1987 年 12 月 13 日、東京都新宿区市ヶ谷の「家の光ビル」で開かれた原発問題住民運動全国連絡センター懇談会のなかで「原発問題住民運動全国連絡センター(原住連)」の結成を確認しました。
 この時、代表委員には、大西譲氏(原発反対三重県民会議)、早川篤雄氏(原発・火発反対福島県連絡会)、藤巻泰男氏(柏崎・巻原発反対新潟県連絡会議)、小谷邦男氏(和歌山県日置川原発反対 30 ㌔共闘会議) が選ばれました。

<運動論>
 原住連は、「原発の危険に反対する」運動を住民運動の原点としてきました。
 この運動論は、国と電力会社の原発開発の推進・強行に対決して、住民運動の共同行動を前進さ せる大きな保障となりました。それは、思想信条の違いを超えて、原発の一般的是非の意見のい を超えて、だれもが共同できる運動だからです。
 原住連は、地域的な「原発の危険に反対する」運動を、全国的な運動として推進し、そのなかで情報・経験を交流する場となっています。

<住民投票での三連勝>
 「原発の危険に反対する」運動は、巻原発建設の是非をめぐる住民投票(新潟県巻町:1996 年 8 月 4 日)、柏﨑刈羽原発へのプルサーマル計画の是非をめぐる住民投票(新 潟県刈羽村:2001 年 5 月 27 日)、原発誘致の是非をめぐる住民投票(三重県海山町:2001 年 11 月 18 日)で、住民側が勝利する力となりました。
 なかでも、東京電力の「城下町」刈羽村での住民投票の 勝利は、NHK の出口調査で「プルサーマル反対」に投票したうち 12パーセントは「原発賛成」の意見を持 つ人びとだったことに示されるように、住民は「プルサーマル反対」の一点で意思を表明しまし た。

<原発の日本立地は世界一危険>
 原発を日本に立地することは、次に示すように六重の危険をもっています。
  ①技術上―苛酷事故を構造上排除できない危険、また放射性物質の処理・処分の見通しがない危 険
  ②経済上―原発のリスクや必要経費さえ計上しない危険、
       また巨額投資の原発建設であればあるほど利益が保障される総括原価方式の危険
  ③地質上―世界有数の火山・地震国の立地の危険
  ④地理上―人口過密地帯への近接・集中立地の危険
  ⑤行政上―国際基準にもとづく原子力規制機関不在のもとで立地する危険
  ⑥営業上―営利優先の運転の危険
 この六重の危険のうち、①は世界共通ですが、②~⑥は日本固有のもので、原発の日本立地は世界一危険なものです。
 国と電力会社は、これらの危険を国民の目からそらすために、「原発は安全」という「安全神話」、「原発は安い」とう「経済神話」を大々的に流布してきました。そして自らもその呪縛にとらわれ たのです。福島第一原発事故は、この六重の危険が一挙に顕在化したものでした。

<苛酷事故の未然防止>
 原住連は、米スリーマイル島(TMI)原発事故(1979年)、旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)を経て、国民監視網の強化による日本での苛酷事故の未然防止を最大の課題として取り組んできました。
 なかでも、原子炉停止直後からの崩壊熱の除去のための機器冷却系の監視に重点的に取り組みました。 中部電力に対しては、浜岡1、2号機の機器冷却系海水導管が砂地盤上に支持されており、東海地震時に液状化の危険があるとして、抜本対策を要求しました。中部電力は、3号機増設時に、3号機の沈砂池から岩盤中にトンネルを掘って1、2号機に繋ぐ連携トンネル工事を実施しました。 不思議なことに中部電力は、これを液状化対策として未だに認めていません。
 東北電力に対しては、チリ津波(1960 年)の際、引き潮が海抜「-8 ㍍」まで引いたことから、女川 1、2号機の機器冷却系の取水口に海水がとどかないことを指摘、対策を要求しました。東北電力は3号機増設時に、前面海底を「- 10.5 ㍍」まで浚渫する工事を実施しました。東日本大震災時に、 女川原発が辛うじて津波を被らず、苛酷事故を回避しえたのは、この工事があったからです。
 東京電力に対しては、チリ津波級で、福島第一、第二原発ともに機器冷却系の海水ポンプが津波を被り、運用不能となる事実が判明したことを受け、原住連は、2005年以来、東京電力と粘り強く交渉を重ねてきました。これは、将来予測の話ではなく、現実にあったチリ津波への対処の問題で、指摘直後に対策を講ずるべき問題です。東京電力は、この指摘を一貫して無視し、苛酷事故を招き ました。「想定外の津波高さ」どころか、過去にあった津波対策さえ講じていなかった東京電力の責 任は重大です。

<「世界一厳しい安全基準」という新たな「安全神話」>
 福島原発事故後、国と電力会社は、原子力規制委員会の新規制基準が「世界一厳しい安全基準だ」として、この適合性審査に合格した原発の再稼働を順次、強行しています。
 しかし、新規制基準は福島原発事故の検証にもとづくものではありません。
 また、万が一の事故時の 原子力災害対策、避難計画を立地自治体に丸投げしたもので、事故時の実効性はありません。さら に、日本は世界有数の火山・地震国であるにもかかわらず、想定される火山・地震に本格的に備え ていません。
 福島原発事故の教訓を踏まえていません。
 原子力規制委員会が福島原発事故後、設置されましたが、この委員会は、実質的に推進と規制の相反任務を負う形で発足しました。
 規制委設置法と合わせて、原子炉等規制法に「通常 40 年運転」「特例 60年運転」が新たに法文化され、事故時のどさくさに紛れて、原発の再稼働の道が開かれました。規制委は「通常 40年運転」「特例60 年運転」を「新たな規制」などとうそぶいています。
 福島原発事故以前の原子力安全委員会、原子力安全保安院は、国際基準からは逸脱した規制機関でしたが、形式上は規制機関の体をとっていました。現在の原子力規制委員会は、それさえも投げ捨て、推進と規 制の相反任務をもっており。実に歪(いびつ)な委員会となっています。

<福島原発事故、原子力規制、原子力政策の検証を>
 福島原発事故は、事故の検証とともに、日本の原子力規制の在り方と原子力政策の検証を求めています。
 福島第一原発事故については、政府、国会、民間、東京電力の四つの報告書が出されていますが、未だに事故の検証がされていない中での報告書となっています。また、事故原因についても、崩壊熱の除去の ための機器冷却系の機能喪失による苛酷事故であることを、直截に指摘した報告書はありません。
 日本の原子力規制の在り方では、原子力安全委員会、原子力安全保安院などが国際基準から逸脱 し、国際原子力機関(IAEA)の安全勧告を無視してきたことが、福島第一原発事故を招いたことに 根本的なメスが入れられるべきですが、これを回避して、事故以前より、さらに国際基準にまった く背いた規制委を発足させています。これでは、原発の再稼働は、日本列島が福島第一原発事故以上の災害に見舞われることになります。
 2016年 12月、原子力関係閣僚会議は、高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の廃炉決定と「高速炉開発」の方針を決めました。
 日本の原子力政策は 1956 年以来、原子力委員会による概ね 5 年ごとに 9 回の「原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画(以下「原子力長計」という。)」と「原子力政策大綱(以下「大綱」といい、2005年に閣議決定)」にもとづき推進されてきました。
 1987年初め、高速増殖炉開発は、「原子力長計」策定当初から動力炉開発の「将来の原子力の主流」と位置づけ られてきたものです。「もんじゅ」は、原子力政策の検証がないままの廃炉が決定され、その一方で「高速炉開発」の決定は「高速増殖炉開発」の「増殖」を外したものですが、原子力政策では位置づけ のないものであり、いずれも不可解です。しかも、関係閣僚会議決定で、簡単に方針を決めるやり方も 異例です。関係閣僚会議の決定は、「もんじゅ」廃炉は世論上仕方がないとし、高速増殖炉の巨額開発 に群がる「原子力ムラ」を温存する策というご都合主義によるものです。
 六ヶ所再処理工場(青森県六ヶ所村)は、相次ぐ事故で竣工予定が 2018 年上期に 23 回も延期され、建設費が 2.9 兆円と当初見込みの 4 倍に膨らんでいます。完成後の 40 年間の総事業費は 13.9 兆円 にのぼるとされます。高レベル放射性廃棄物の処理・処分問題は、原発開発当初以来、未だに見通しのない状況が続いています。経済産業省は7 月 28 日、最終処分地選定に向け全国の「科学的特性マップ」を公表しましたが、今日の科学の到達点を反映していません。科学的に真摯に検討したものとはとてもいえません。
 これらの背景には、共通して「原子力ムラ」の特殊利権集団が原子力開発を食い物にする構造があります。私たちは、原発推進政策、核燃料サイクル政策の抜本的な検証を求めます。

<「原発・核燃からの撤退」「原発ゼロ」の合意形成>
 安倍政権が 原発再稼働へ暴走している中で、原発の危険に反対する運動は改めて重要な意義をもっています。 福島第一原発事故の経験を経て、住民が「原発・核燃からの撤退」「原発ゼロ」を求めるのは当然のことです。

 しかし、国と電力会社の何としても原発再稼働をとの激しい攻防の中で、立地地元を 中心に、なお原発再稼働への幻想があります。また、エネルギー論として原発必要悪論が吹き飛ん だ状況でもありません。福島第一原発事故の経験を経たからといって、多くの住民が「原発・核燃からの撤 退」「原発ゼロ」の認識を共有しているわけではない現実を見る必要があります。

 私たちは「福島のいま」を知り、事故の経験・教訓を語るとともに原発の危険を学び、国民的 対話・議論を通じて日本のエネルギー政策、日本経済の「原発依存」の危険について語る国民的対話と議論を通じて「原発・核燃からの撤退」「原発ゼロ」の国民的合意形成をはかることが求められます。

 原発問題住民運動全国連絡センター( 原住連)は、その活動にみなさんとともに頑張ります。
                                2017年8月