京都地裁と東京地裁で、国と東電に賠償命令

 3月15日、福島県や首都圏から京都府に避難した57世帯174人が、東電と国に総額8億4660万円の損害賠償を求めた裁判で、京都地裁は国と東京電力の賠償責任を認め、110人に1億1000万円の支払いを命じた。原告の大半が避難指示区域外でしたが、判決は、政府の地震調査研究推進本部が2002年に公表した「長期評価」に基づいて、国が津波を予見することが可能で、東電に対して対応を命じなかったのは違法と指摘した。そして、自主的に避難する決断をしたことは社会通念上合理性があると判断した。

 3月16日、福島県の福島市、いわき市、田村市などから東京都に避難した17世帯47人が6億3500万円の損害賠償を求めた裁判で、東京地裁は国と東電の責任を認め17世帯42人に5900万円を支払うよう命じた。 国と東電は、2002年に10メートル超の津波が第1原発を襲う可能性が予見できたのであり、国は2006年までに津波対策を命じるべきで、東電も対策に着手すべきだったと指摘した。

 避難者は、憲法が保障する居住・移転の自由に基づく居住地決定権を侵害されたので、自主避難についても合理性を認めた。避難による生活費の増加分を、一人当たり月に1万円、家財道具購入費を5~10万円などと算出、自主避難の41人について一人当たり42~308万円、避難指示区域内の1人には406万円の支払いを命じた。