福島原発事故訴訟で、最高裁判所が国の責任を免罪する不当判決

 6月17日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、福島原発事故の損害賠償を求める福島、群馬、千葉、愛媛の4県の避難者集団訴訟に対して「国が津波対策を命じていても事故は防げなかった可能性が高い」として、「原発事故における国の責任を認めない」判決をくだした。

 しかし、4裁判官のなかで三浦守裁判官は、3人の多数意見の判決に対して「国が東電に対して規制権限を行使しなかったのは、国家賠償法第1条1項の適用上違法だ。」と痛烈に批判する反対意見を書いた。その意見は判決文全54ページ中30ページに及んでおり、原告団の馬奈木厳太郎弁護士は「これが、本来あるべき最高裁判決だという思いを感じる。原告の思いに向き合い、法令の趣旨からひもとき、証拠を詳細に検討しているこの反対意見は、後陣の訴訟にとって宝、第二判決として位置づけたい」と述べた。

 最高裁判決の直後に、最高裁の門前で報告に立った馬奈木厳太郎弁護士は、「この最高裁判決は、重要な争点について触れないなど判断を避けた部分が多い。この最高裁判決は、後続裁判が縛られる内容ではない。第二判決の意見が多数派になり、再び最高裁に勝ち上がって勝訴するまでたたかう。」と呼びかけた。