原発動向

 福島第一原発からの汚染処理水の海洋放出が続く中、沸騰水型軽水炉の女川原発2号機と島根原発2号機が再稼働し、不当な女川高裁判決があり、年末には原子力回帰を鮮明にした「エネルギー基本計画」の原案が示されるなど司法を含む国・産業界などの原発推進派の動きが活発でした。一方で敦賀原発2号機が規制委発足以降初の不合格になりました。

以下に、2024年12月現在の原発の稼働状況・審査状況と、全国の主な差止訴訟について紹介します(東京新聞、12/16引用)。

泊原発  北海道電は原子力規制委員会の審査で、想定の津波高を当初より2倍超の15.68メートルとした。審査は大詰めを迎えている大間原発 規制委の審査が進んでいないため、2024年後半に始める目標だった事故対策工事を延期。再開時期を明らかにしていないが、2030年度とする稼働時期の目標は変えない。

東通原発 2025年3月までを目標としていた追加の事故対策工事の完了を断念し、工期を延期。規制委の津波対策の審査が長期化する見通しのため

女川原発 2号機が10月に再稼働。東日本大震災の被災地の原発として初めて。機器点検でいったん原子炉を止める「中間停止」をした後、12月5日に再び起動した

福島第2原発 2019年7月末に廃炉が決まり、2021年6月に作業開始。44年に完了予定。機器の汚染状況の調査や、汚染の心配がない設備の撤去などを進めている

東海原発 原電は原子炉外部の熱交換器などの解体撤去を進めている。23年12月、廃炉作業の完了予定時期をこれまでの30年度内から5年延長し、2035年度内にするとした東海第2原発 建設した防潮堤に不備が見つかった問題で、原電は2024年8月、事故対策工事の完了を24年9月から26年12月に延期した

浜岡原発 中部電は11月、防潮堤を現在の海抜22メートルから28メートルにかさ上げすると表明。南海トラフ巨大地震が発生した場合の津波想定は最大25.2メートルで、一定の余裕を持たせるとした

柏崎刈羽原発 東電は24年4月、新潟県の地元同意を取る前に7号機に核燃料を装塡(そうてん)。6号機も25年6月に予定。使用済み核燃料を国内で初操業した中間貯蔵施設(青森県)に搬入した志賀原発 1月の能登半島地震で、1号機地下で震度5強を観測。これを受け、規制委の審査は長期化するとみられる

敦賀原発 規制委は24年11月、2号機の再稼働に向けた申請を退けた(規制委員会初判断)。福井県の杉本達治知事は会見で「規制委による審査内容を守ることが大事」と述べた

美浜原発 原発の60年超運転を可能にする新制度が25年6月に施行されるのを前に、関電は今年24年10月、3号機の40年超運転に必要な認可申請書を規制委に提出した

大飯原発 規制委は6月、運転開始から30年を超えた3、4号機の40年までの運転を認めた。新制度に基づく認可で、初めてのケースになった

高浜原発 23年7月に再稼働した1号機が今年24年11月、国内の原発としては初めて運転開始から50年を超えた

伊方原発 3号機が24年12月で運転開始から30年になるため、新制度に基づき30年を超えて運転するのに必要な計画を策定し、規制委に申請した

島根原発 2号機が12月7日に再稼働。中国電は、3号機についても稼働に向けて規制委の審査を進めていく考え

玄海原発 3、4号機は2018年に再稼働したが、九電は今年、津波対策の前提となる「基準津波」の高さを引き上げた。ただ、防潮堤のかさ上げなどは不要とした。

川内原発 規制委は24年11月、新制度に基づき1号機の40年を超える運転と、2号機の30年を超える運転を認めた。